2012年03月28日

外から見た「エレガンスイブ」という雑誌

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「花のズボラ飯」(以下「ズボラ飯」)を世に送り出した雑誌として
最近名を上げている(ような気がする)エレガンスイブ。
5月号には「はじめましてエレガンスイブ」という
150ページ強の小冊子が付録で付いてきます。小冊子にしては厚い。

内容は「ズボラ飯」の新作がオールカラーで掲載されているのを始め
過去に本誌に載った読み切りや連載作品の第1話を書き下ろしページと共に再収録、
さらに吉田豪や沢孝史(週チャン編集長)といった
「なんで!?」と言いたくなる方々へのインタビュー記事などなど、
ヘタしたら本誌以上の熱量が込められた渾身の付録となっています。
表紙の裏に書かれたエレガンスイブ編集部一同からのメッセージは
この付録の作られた目的をこう説明しています。

>長年雑誌の看板を背負っているベテランと、
>新しい才能を見せる気鋭の先生たちが交わる“今”をお読みいただき、
>雑誌だからこそできる“いろいろな作品を読める楽しさ”を
>感じていただけたら嬉しいです。
>この小冊子がその手助けになりますように。

平たく言ってしまうと話題作となった「ズボラ飯」に興味を持った人を
本誌に誘導する為の新作と過去作再収録なわけですな。
雑誌という形での発信にこだわりを見せるあたりが
週チャンの沢編集長によく似ているなと思いました。これについては後述します。

各作品の紹介やインタビューの聞き手を
「ズボラ飯」の主役である花がするという体(てい)で編集されているのですが
この花の中の人は間違いなく「ズボラ飯」の担当編集者、K城さんでしょう。
もっと言うと再収録されている作品にもK城さんが関わっていると思います。
普通は作品紹介というとストーリーのあらすじが書かれるものですが
まず作者がどのような性格で普段はどういう作品を描いているかを説明して
どういうキッカケでこの作品を立ち上げてどのような想いを込めているのか…
というのを切々と語る「作者紹介」になっているのが非常に特徴的。

「今日(マチ子)さんには作家魂を感じずにはいられませんでした」
「エッセイ漫画だけでなく、自らの可能性を広げようと奮闘する
 カラスヤ先生パパ前夜の姿がそこにはありました」

もうほとんど個人宛の手紙のようですね…。
こういうクドい作者紹介は前回の別冊付録「お祝い『花のズボラ飯』」の時からで、
冊子に登場した19人の作家全てに
「もっと読みたい」「素晴らしい作家さん」みたいなコメントを付けてました。
この人はとにかく漫画とそれを生み出す漫画家がたまらないんでしょう。
その煮えたぎらんばかりの「漫画愛」が
今回の「はじめましてエレガンスイブ」には凝縮されています。
沢編集長へのインタビューは2人が似たもの同士であることがよく表れていました。

花「阿部共実著『空が灰色だから』が好きです」
沢「『空灰』をご存知!?さすがですね!お察しの通り阿部くんは天才です」
花「エレガンスイブにエールを送ってください!」
沢「『ズボラ』担当の天才編集・K嬢が「革命だ!」と叫びながら、
  石黒正数先生始め本誌週チャンの大事な大事な天才作家を
  次々どこかへ連れて行ってしまう。怖いです」
花「でもカラスヤ先生を週チャンに紹介したのはエレガンスイブですよ!」
花「施川先生が週チャンに再び登場する可能性はあるんでしょうか?」
沢「もちろんです(ドン)!!というか、施川先生、早く描いてください(キッ)!
(中略)ホント、天才作家はなかなか始めてくれないから困るわい(フウウ…)」
花「以上、天才作家をまとめあげる、超天才編集長でした!
  阿部先生、エレガンスイブでもぜひ1度!」

お互い天才天才言い合いながら作家の奪い合いしてるよ!
まるで沢編集長が2人いるかのようだ…。
他の雑誌をチェックして常に才能ある作家を探し、
惚れこんだら天才天才と褒めちぎりながらオファーを出して漫画を描かせる…
そんなK城さんはまさに女版沢様ですな。
今日マチ子やサメマチオの作品がエレガンスイブに載って
「いま一番何が起きるかわからない、面白い雑誌」(付録冒頭より)
という声が出るようになったのは大体この人のせいに違いない。
「なんでもありの無差別級まんが雑誌」に通じるものを感じます。

そんな闇鍋的な面白さは確かに感じますが、
500と数十ページあるエレガンスイブを構成する作品群の多くは
やっぱり主婦向けの、ベテラン女性作家による家庭を描いた作品なわけです。
元々そういう雑誌なんだから当然なんですが、
「ズボラ飯」と「嫁姑の拳」の表紙につられて買った人たちが
普段読む漫画とは毛色が大きく違うのに、主婦向け雑誌に誘導するのは
はたして正解なのか?という疑問を自分は抱いてしまいます。
逆に本来の読者層である中高年女性の方々に
外から持ち込んだある種の「刺激物」がどう受け止められているのか、
余計なお世話ではありますが心配してしまいます。
以前本誌に掲載された石黒正数×カラスヤサトシ×施川ユウキのホラー漫画鼎談は
完全に場違いだったと今でも思う。自分は楽しく読みましたけど。
そんな「刺激物」ばかりを集めて作られた今回の小冊子は
改めて「エレガンスイブの二極化」を浮き彫りにしてしまったと感じました。

ようするに自分が言いたいことはですね、
そろそろ別の雑誌を立ち上げてそっちでやったらどうですかと。
「主婦向け」に囚われない、より広い読者層に心置きなくアピールできる体制を
そろそろ準備した方が多くの人の幸せに繋がるんではないかと思うわけです。
かつて沢編集長がツバつけた作家を集めてチャンピオンREDを立ち上げましたが、
同じことが女版沢であるK城氏にならできる!はず!
エレガンスイブの看板を外せないのなら増刊号で
「エレガンスイブいちご」とか「エレガンスイブ烈」とかでもいいですから!
posted by ばば at 20:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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